この記事では写真のような絵を描く過程を紹介しています。今回は人物画の鉛筆画です。モデルは橋本環奈さんのこちらの写真にしたいと思います。
こちらはカラーの写真ですが、今回描くのは白黒の鉛筆画なので、わかりやすいように写真を白黒に加工しておくのも一つのコツです。
使用する画材の紹介
今回使う画材は以下の通りです。
- 鉛筆(H、B、4B)
- 練り消し
- ノック式消しゴム
- ケント紙
今回、鉛筆は三菱のHi-UniのHとBと4Bを使っていますが、特にこれといって決まっているわけではないので、好きな濃さの鉛筆でどうぞ。一本でも構いません。
下のアートセットだと10Hから10Bまで22本入りセットです。
消しゴムは”練り消し”と”ノック式消しゴム”を使っています。それぞれ要所要所で使い分けていきます。
紙はA4のケント紙です。
ケント紙は鉛筆画、色鉛筆画において必須の紙と言っていいぐらいの優れた紙なのでとてもおすすめです。
はじめに
人物画はあらゆるモデルの中で一番難しい被写体です。
なぜなら人間の目は人の顔を識別することに特化しているからです。
人間の目は人の目、鼻、口、眉、輪郭…等々の微妙な違いを判別し認識できるように作られています。
一人として同じ顔を持っていないのですが、その顔の違いは微差なんです。
例えば、猫の顔も一匹一匹違うのですが、人間の目は猫の顔を簡単に識別できるようにはできていません。
個人的な推測ですが、おそらく、猫からしたら、猫の顔を見分けることは簡単なんだと思います。
このように人間の目は人の顔を識別することに特化しているため、人物画はとても難しいんですね。
そのため、いきなり部分部分を重点的に描く鉛筆画の描き方だと「似ていない」という結果になってまうことがよくあります。
そこで今回はデッサン風に描く鉛筆画の描き方を説明したいと思います。
この方法だと、描きながら顔のパーツを微調整できるのでおすすめですし、なによりあまり疲れません。
デッサン風に描く鉛筆画
それでは、下のケント紙に描いていきたいと思います。
テープを張っているのは撮影用に固定しているだけですので、気にしないでください。
もちろん固定したい方はテープを張って固定しても構いませんがセロハンテープとかだと、剥がす時に紙ごと剥いでしまうことがあるので注意してください。
その際は、簡単に剥がすことができるマスキングテープがおすすめです。
下描き
まずは下描きを描いていきます。
鉛筆は一番薄い”H”を使っています。
簡単にコツを説明しておくと…。
- 目と目の間の距離は目一個分
- 髪は輪郭だけを描く
- 細かい髪は描かない(前髪など)
- おでこの面積も忘れずに取る
下描きは顔の輪郭と目、鼻、口のパーツの位置を決めていくとても大切な工程になります。
この位置決めで「似ている」か「似ていない」かが決まるのでモデルを良く見ながら描いていきましょう。
この段階では、パーツや輪郭がこの位置で合っているかどうかの答え合わせをするのがとても難しいので、ベストを尽くしたら、その位置を信じて描き進めます。
あとで描きながら修正するので、少しのズレは許容しましょう。
本描き
下描きが終わったら、先程と同じ濃さの鉛筆で徐々に緻密に描いていきます。
まつ毛と細かい髪の毛はまだ描きません。
この時に意識してほしいのは、「描く」というより「塗る」という意識です。
ぼんやりとモデルを眺めてみて、濃ゆい部分だったり、黒い部分をただ塗っていく感じです。
白い部分は塗らず、黒い部分だけを塗り、白と黒の中間色は筆圧を調整しながら薄く塗っていきます。
ただひたすら、色のある部分を塗っていくという感じです。
髪の毛は描く方向を間違えないようにしてください。
髪の流れる方向に鉛筆でなぞるように描いていきます。
この段階では、髪の光が当たっている部分(白い部分)は描かなくても大丈夫です。
目の中の光が当たっている部分(白い部分)は描かないように気を付けてください。
上の絵のようにある程度、描き終えたらティッシュや綿棒、さっぴつを使って全体的にぼかします。
この時のぼかし方なんですが、薄いところからぼかしていってください。
ぼかし終えたら、今度は少し濃ゆい鉛筆で塗っていきます。
塗りながら「ここが変だな」と感じる部分があったら微調整しながら塗り進めていきます。
この絵の場合だと、左右の目の大きさが少し違うので、塗りながら修正していっています。
今回も同じように黒い部分だけを塗るように意識します。
塗り終わったら、またティッシュや綿棒、さっぴつでぼかしていきます。
このあとは「描いて、ぼかす」の繰り返しになります。
「この部分濃すぎるなぁ」と感じたら消しゴムで消して調整します。
消しゴムで消した後はその部分をぼかしたり、薄い鉛筆で塗って自然な感じに仕上げていきます。
光が反射した髪の毛の白い部分はノック式消しゴムで髪の方向になぞるように消していきます。
下の絵のように濃ゆい部分と薄い部分を調整するだけで、一気に似てきました。
さらに描きながら、修正を繰り返して似せていきます。
最後に濃ゆい鉛筆で細かい毛やまつ毛を描いて完成になります。(シャーペンで描いてもOK)
お疲れ様でした。
おわりに
一番難しいのが、顔のパーツの配置だと思います。
本人に似ているかどうかという最も大事なところでもあります。
目、鼻、口のような顔パーツの配置と輪郭さえ完璧であればリアルな絵を描くのは比較的容易になります。
そこで顔パーツを描く下描きの方法なんですが、最初はトレース(写し描き)でもいいと思います。
目、鼻、口、輪郭を実寸大の写真等で透かして顔パーツの要所だけ描き写します。
その後、枚数を重ねていくうちに、徐々にトレースから、グリッドを引いて描くようにしていったり、最終的にはグリッドも無しで描けるようになればいいと思います。
僕は、最初の頃はそれぞれの顔のパーツを定規で計って、計り描きしていました。
トレースはズルいとかいう意見はあるかと思いますが、自転車も最初は補助輪付きで練習するように、上手くなるためにはステップが存在します。
以上で、デッサン風に描く鉛筆画の描き方でした。
わかりにくいところもあったとは思いますが、ご精読ありがとうございました。